まえがき

2020年の10月~2021年4月制作。10月の間1日1枚絵を描いてアップしようぜ!という趣旨の企画・Inktober(インクトーバー)に触発されて始めた自主企画。(インクトーバーについて詳しいことは各自で調べてください・リンク先も参照)
「日本国内の妖怪」というお題に沿って31日分のモノクロイラストを描いていきました。さらにA5サイズ縦向きのみ、フルアナログ作画、グレー使用禁止という縛りプレイ付きです。月間と言いつつ年間も見えてくるレベルで時間がかかってしまいましたが、ひとまず完走は出来てよかったです(白目)描いた妖怪たちは可能な限りいろんな時代から幅広く拾い集めました。それではお楽しみください。

もくじ


一日目アマビエ

トップバッターは例のウイルスがきっかけで知名度が爆上がりし、今ではありがたい神様みたいな扱いを受けてるアマビエさん。疫病退散!2020年の10月1日はちょうど満月の日だったので、背景にお月様を入れました。神々しいね。

二日目雨降小僧

あめふりこぞう。雨を降らせる神様のパシリ…もとい侍童。頭に傘を被り、手には行灯を持った姿で描かれますが、どストレートに描いても面白くないので現代っぽくアレンジしました。頭の傘とレインコートの模様は雨の神様=竜神ということでウロコをイメージしています。

三日目くねくね

近くで見たらアカンやつ。インターネットが発祥の怪談のひとつ。怖いもの見たさで読んでトラウマになった方もいるのでは?狂気に侵されて頭が破壊される様を表現しようと試みましたが、うまくいったでしょうか…。

四日目絡新婦

からみしんぷ、じゃなくてじょろうぐも。女郎蜘蛛とも書く。綺麗な女の人に化けてるけど、木を根っこごと引っこ抜いちゃうほどの力持ちなのだ。多腕キャラは一度にいろんなポーズをつけられてお得感がありますね。

五日目白溶裔

しろうねり。古い布巾やぞうきんが化けたやつ。「溶裔」は「容裔」とも書く。「容裔」は布が風ではためく様子を意味するそうですが、確かに使い古されたボロボロの布が風で動いていたら、オバケのように見えるのも無理はないですね。

六日目毛羽毛現・毛倡妓・ケセランパサラン

けうけげんとけじょうろう。そしてただの毛玉ではなくケセランパサラン。毛つながりで三種一緒に描いちゃいました。毛毛毛毛まみれ!!!

七日目河童

皆さんご存じカッパです。水の中に人や家畜を引き摺り込む悪さをすることもあるけれど、どこか抜けてる憎み切れないやつら。相撲が大好きなことでも有名です。この絵はやさしい世界なので、人間の少年たちが川に投げ飛ばされることはありません。ご安心ください。

八日目以津真天

いつまで。その名の通り「いつまで…」と鳴く怪鳥。死体を放っておくとその近くに現れると言われています。もしかしたら今もどこかで、人知れず亡くなった者がないているかもしれません…。

九日目烏天狗・大天狗

天狗像の前で記念撮影する天狗の皆さん。自分で描いておいてアレだけどなんだこの謎シチュ!?(ちなみに撮影者は帰省したこの方です)むかし鞍馬山に近いところに住んでいたのもあって、やっぱり天狗といえば鞍馬でしょ!というイメージが強いです。それ抜きにしても鞍馬山は天狗信仰の総本山です。機会があれば行ってみてね。

十日目メリーさんの電話

捨てられたお人形が、自分の位置を電話で知らせながら近付いてくる、という怪談なんだけど…これじゃメリーさんのL●NEじゃないか!!…いや、きっとイマドキのメリーさんはスマホも使いこなしてみせるのだ!ちゃっかり自撮りまでしちゃってこのお茶目さん!

十一日目脛擦

すねこすり。夜に歩いていると足の間をこすりながら通っていくやつ。ちょっとお邪魔なだけで、これといった害はなさそうです。人肌が恋しいのかしら?猫のような姿で描かれることも多いですが、今回はどちらかというと犬っぽい…けど犬じゃないのを目指して描いてみました。くすぐったそう。

十二日目塵塚怪王

ちりづかかいおう。ゴミが集まって化けたもの…というのは後から出た解釈らしいのですが、名前にピッタリ似合ってますね。この子はどうやら映えの為に買われては、ろくに飲まれず捨てられたドリンクが化けたもののようです。(もうタピオカブームは終わってるけど気にするな!)デザインは結構気に入ってますが、これを塵塚怪王と言い張っていいのかは少し迷いました…。

十三日目赤い紙青い紙

どの色がいいか聞いてくるやつ。赤と答えると血まみれにされて死ぬ。赤以外で答えても大抵無事じゃ済まないけど。類話・派生系も多く知名度も高い(高いよね?)けど、その割にキャラクターとしてまともに動いているところはあまり見かけない気がします。姿に関する情報がほとんどないからか…トイレ妖怪=花子さんが強すぎるのか…単に私のアンテナが低いだけかしら。

十四日目トイレの花子さん

かくして不埒な怪人は倒され、少女の命は救われました。やったね!今でこそ人の味方になるイメージも強い花子さんですが、ヒーロー的なイメージや赤い吊りスカート姿が定着しはじめたのは1990年代半ばだとかなんとか…やはりとあるアニメの影響が大きいのでしょうか。ほわほわ…ほわほわ…。前の赤い紙青い紙がいかにも悪い怪人っぽい見た目になった為、対になるようにヒーローっぽい要素を押す形になりました。女の子ヒーロー→魔女っ子のイメージです。

十五日目与田惣

「俺は与田惣だ!さかさまだ!」と叫びながら鎌で襲い掛かってくる危険なやつですが、名前を逆さに呼ぶことで撃退できます。「よだそう」をひっくり返すと「うそだよ」…つまりこいつは存在自体がホラ話であること前提なのですが、あれれ?どうしてそこに出てきているんだ?

十六日目びしゃがつく

雪やみぞれの降る夜に歩いていると、後ろからびしゃびしゃと足音を立ててくるやつ。名前の響きから何かしら滴っているイメージで、謎の液体を足元に落とす不思議生物として描いてみましたが、キノコみたいになってしまいましたね。液体部分の模様がいい感じにキモくて異質な具合に仕上がってお気に入りです。それにしてもお嬢ちゃんそんな格好で寒くない?

十七日目納戸婆

なんどばば。その名の通り、人の家の納戸に住んでいる老婆の妖怪。元々はお家の神様であったとも伝えられています。あまり人前に姿を見せたくないのか、人が納戸に入ってくるとすぐに床下に逃げ込むと言われていますが、どうもこの方、家主の秘蔵のコレクションに夢中だったご様子!

十八日目七人みさき

七人一組の集団怨霊。もし出会ったら高熱にうなされて死にます。慈悲はない。一人取り殺すと七人の内の一人が成仏して、殺された人間が新しいみさきになると言われています。無限ループって怖いね!子供のころに読んだ妖怪の本に載っていて、「出会ったら死ぬ」という部分を強烈に覚えていたせいで、すごく怖いイメージが強いです。ということで絵の方もおどろおどろしさ増し増し。

十九日目アクロバティックサラサラ

2008年ごろからネット上で噂されるようになった、サラサラヘアーのヤヴァイ奴。個人的に声に出して呼びたい妖怪暫定第一位。ぶっちゃけ名前で採用した!街中に現れてビルの上から飛び降りたり、電車の目の前に飛び込むなど、その名に恥じないアクロバティックな奇行を見せます。

二十日目黒髪切

くろかみきり。夜中に道行く人の髪の毛を切ってしまうやつ。正体は狐が化けたもの、あるいは髪切り虫という虫の仕業だと言われています。まあ単にそういう変質者の人間がいた…という可能性もなくはないですが…。大抵の場合ハサミのようなクチバシ、または白い歯の大きな口の獣のような姿で描かれますが、今回は虫っぽさ強めに描いてみました。

二十一日目ぬっぺふほふ

一等身の肉の塊みたいなやつ。元祖キモカワ系って感じ?顔のパーツみたいに見えているところは実はシワなんです。ぬっぺっぼうとも呼びますが、ぬっぺふほふと読むとより間の抜けた感じがして良いと思います。ほふほふほふ。見た目何かしら捻りを入れたかったけどうまい案が思いつかず…。

二十二日目遺念火

いねんび。遺念とは亡霊のこと。これが火になって現れたものが遺念火です。決まった場所に出現するというだけの無害な妖怪ではありますが、その背景には男女の切なく悲しい物語があるのです…。

二十三日目雪女

雪女ちゃんが吹雪とともにやってきましたよ。前の熱々カップルとの温度差で風邪ひきそう!冷徹に人の命を奪うこともあれば、人と幸せに暮らすこともありますが、どちらにせよ悲しい結末に終わることがほとんどです。最後は溶けてなくなる雪のように儚いのです。しょっちゅう白い和服を着た姿で描かれますが、知名度高い妖怪なのをいいことにかなり好き放題に描きました。冬の装いにふさわしくもこもこです。

二十四日目油すまし

ある峠道で、孫を連れた老婆が「この道には昔、油瓶を下げたのが出たそうだ」と話したところ、「今も出るぞー」と言って油すましが現れたそうな。しかしそれ以外に詳しい伝承はなく、何者なのか、どんな姿なのかは謎に包まれています。今回描くにあたっては、つるべ落とし(上から物が落ちてくる怪異)の仲間である説を採用しています。

二十五日目野槌

のづち。胴の太い、目鼻のない蛇のような姿をした妖怪。深い山に住み、道を転がってきては人の脚に噛みつく獰猛なやつです。未確認生物としてよく知られるツチノコは、この野槌に似ているところからその名前がついたとか…むしろツチノコのご先祖様が野槌なのかもしれません。

二十六日目空亡

そらなき。百鬼夜行の最後に登場する、巨大な火の玉みたいなやつ。全ての妖怪を踏み潰す最強の妖怪…って言われているけど、そんな伝承はないのであった。真珠庵の百鬼夜行絵巻に描かれた太陽が妖怪に見立てられ、その上最強設定まででっち上げられた結果爆誕した、誤解からなる現代妖怪なのだ!ここではさらに捻くれて、人々を誤解させて自分を強いやつに見せかける妖怪だという解釈をぶち上げちゃうぞ!

二十七日目布団被せ

フトンがフットンできた!!文字通り布団のような妖怪。ふわっと飛んできて、スッと人に被さり、窒息させようとしてきます。うかうかしてると永眠待ったなし!空から飛んできて人に覆い被さる妖怪は他にも「野衾(のぶすま)」というものがいます。ちょっとムササビっぽい見た目をさせているのはこれに由来します。

二十八日目カシマさん

身体の一部(足または手)を欠損した幽霊。フルネームでカシマレイコとも呼ばれます。女性とされることが多い?ですが、男性のカシマさんも存在するようです。カシマさんの話は様々な種類がありますが、概ね共通するのは話を聞いた人のところに出てきては、いくつか問いかけをするということです。正しく答えられないと足や腕を持っていかれてしまいます。

二十九日目紫鏡

むらさきかがみ。二十歳になるまでにその言葉を覚えている…というだけで死んでしまう理不尽極まりないやつ。死ぬのを恐れるのはわかりますが、忘れよう忘れようと意識していると、かえって余計に頭から離れなくなってしまいますよ?でもご安心ください。忘れる以外にも「白い水晶」「水色の鏡」「ホワイトパワー」などの別の言葉を覚えるという回避方法があります。なぜそれで回避できるかはよくわかりませんが…。

三十日目ぬらりひょん

頭の大きな老人の姿をした、掴みどころのない妖怪。妖怪の総大将として名高いお方です。いいや総大将というのは後付け設定だぞ!という指摘も、もう散々言われて有名になってきてるように思います。まあでも後から姿や属性・イメージが変化した妖怪は他にもいくらでもいますから、ぬらりひょんだけとやかく言うのもアレですね。

三十一日目

妖怪と聞いて、鬼という単語やイメージが全く出ない人はたぶんあんまりいない。強くて恐いイメージが強く、桃太郎や一寸法師などのおとぎ話の悪役としてもおなじみだけど、弘前市の鬼神伝説のようにいいやつもいたりする。カッコよさを出してみたくて白と黒バッキバキに分けた塗りにチャレンジしてみましたが、なかなか難しかったです。ここだけの話、どう描くか全然思いつかなくて描き上げたのはつい最近(2021年4月)だったりします…。


同人誌版(予告)

ここまで見てくださってありがとうございます。これらの妖怪イラスト31体それぞれに、説明文と四コマ漫画かイラストを描き下ろしてまとめた同人誌を作りました。2021年5月16日の関西コミティア61で頒布予定でしたが、残念ながら中止になったので発行を延期します…。※左の絵は表紙のイメージです。

本自体はすでにできあがっていますが、締め切りに間に合わすために入れそびれたネタがあるので、それを補完するおまけ本も制作してセットで後々のイベントで頒布しようと思っております。

2021年5月16日現在・次に参加するイベントは未定ですが、10月の関西コミティア62には参加申込する予定です。頒布する機会ができたらまたTwitterや当サイトのブログ等でお知らせしますので、気長にお待ちください。